歯科医院の価格設定戦略:自費診療率を無理なく上げるには?

2025年6月8日 更新
歯科医院の価格設定戦略:自費診療率を無理なく上げるには?

地方都市や郊外で地域医療を支える院長の先生方、日々の診療だけでなく、スタッフのマネジメントや経営まで、本当にお疲れ様です。

もしかしたら、こんなお悩みを抱えていませんか?

  • 「保険診療だけだと、正直この先の経営が厳しい…」
  • 「質の高い自費診療を提供したいけど、患者さんにどう提案すればいいかわからない」
  • 「値上げだと思われて、患者さんが離れてしまったらどうしよう…」

歯科医院を取り巻く環境は、年々厳しさを増しています。競争が激しくなり、材料費や人件費も高騰する一方です。そんな中で安定した経営を続けるには、保険診療だけに頼らない収益構造を築くことが不可欠です。

その鍵となるのが「自費診療」です。しかし、多くの先生がその提案に難しさを感じていますよね。

この記事では、単なる値上げではない、患者さんの満足度を高めながら、無理なく自費診療の割合を増やすための価格設定戦略をわかりやすく解説します。あなたの医院の価値を高め、患者さんから「ぜひ、先生にお願いしたい」と言われるためのヒントが満載です。


なぜ今、価格設定と自費診療が重要なのか?

改めて言うまでもなく、歯科医院の経営は新しい時代に突入しました。かつてのように、開業すれば自然と患者さんが来てくれる時代は終わり、これからは明確な戦略が求められます。

特に「価格設定」は、医院の価値を患者さんに伝え、経営を安定させるための土台です。しかし、保険診療が中心だと、「価格」を意識する機会はどうしても少なくなります。

自費診療の割合を高めることは、単に売上を増やすためだけではありません。

  • より質の高い医療の提供: 採算を気にせず、本当に患者さんのためになる最新の設備や材料を導入しやすくなります。
  • スタッフへの還元: 収益が安定すれば、スタッフの給与や福利厚生を充実させ、働きがいのある職場を提供できます。結果としてサービスの質が向上し、患者さんの満足度にもつながるでしょう。
  • 先生ご自身のやりがい: 経営の不安が減ることで、診療という本来の業務に集中し、理想とする医療を追求できます。

自費診療を増やすことは、医院、スタッフ、そして患者さん、関わるすべての人にとってメリットのある、ポジティブな戦略なのです。


すべての前提は「患者さんとの信頼関係」

ここで一つ、非常に重要なことをお伝えします。それは、どんなに素晴らしい価格設定戦略も、患者さんとの信頼関係がなければ成り立たないということです。

患者さんは「安いから」という理由だけで歯科医院を選んでいるわけではありません。「この先生なら安心して任せられる」「この医院は、私のことをしっかり考えてくれる」という信頼感こそが、選択の決め手になります。

目指すべきは、価格競争に巻き込まれるのではなく、「先生の医院だからこそ」という価値で選ばれる存在になることです。

そのためには、カウンセリングの時間を大切にし、患者さんの悩みや希望をじっくりと伺い、治療内容を丁寧に説明することが不可欠です。インフォームド・コンセントを徹底し、患者さんの不安を一つひとつ取り除いていく地道なコミュニケーションが、揺るぎない信頼関係を築き上げます。


【実践】無理なく自費診療を提案する3つのステップ

信頼関係という土台の上に、具体的な戦略を組み立てていきましょう。ここでは、明日からでも実践できる3つのステップをご紹介します。

ステップ1:医院の「価値」を定義し、伝える準備をする

まずは、ご自身の医院が持つ「価値」を改めて言葉にしてみましょう。

  • 先生やスタッフの治療技術の高さ
  • 導入している最新の医療機器(例:マイクロスコープ、CTなど)
  • 痛みに配慮した治療へのこだわり
  • 徹底した衛生管理
  • スタッフの丁寧で温かい対応

これらすべてが、他の医院にはない独自の「価値」です。しかし、こうした価値は、黙っていても患者さんには伝わりません。

大切なのは、これらの価値を**「患者さんにとってのメリット」**に変換して伝えることです。

  • 「マイクロスコープを導入しています」 → 「肉眼の何倍も視野が広がるため、より精密な治療ができ、歯を長持ちさせられますよ」
  • 「セラミックは審美性が高いです」 → 「銀歯と違って、天然の歯に近い自然な白さなので、口元の見た目を気にせず、自信を持って笑えるようになりますよ」

このように、専門用語を避け、患者さんが自分のこととしてメリットを感じられるような言葉で伝える準備をしておきましょう。

ステップ2:「松竹梅の法則」で選択肢を提示する

いざ自費診療を提案する際に有効なのが、マーケティングでよく使われる**「松竹梅の法則」**です。これは、3つの価格帯の選択肢を提示すると、多くの人が中間のものを選びやすいという心理効果を利用したものです。

歯科診療に応用すると、このようになります。

  • : 保険診療(基本的な機能回復)
  • : スタンダードな自費診療(機能+審美性・耐久性)
  • : ハイグレードな自費診療(機能+最高の審美性・耐久性・生体親和性)

ポイントは、保険診療を「悪いもの」として否定しないことです。あくまで基本的な選択肢(梅)として提示した上で、「もし、より見た目を自然にしたい、より長持ちさせたいというご希望があれば、こういった選択肢もありますよ」と、「竹」や「松」のプランを提案するのです。

それぞれのメリット・デメリット、そして費用を一覧表にするなど、視覚的にわかりやすく提示することで、患者さんは比較検討しやすくなります。症例写真や模型を見せながら説明するのも非常に効果的です。

選択肢を提示することで、患者さんは「無理に高いものを勧められている」と感じにくくなり、「自分で選んだ」という納得感を持って治療に臨むことができます。

ステップ3:価値を伝える「時間」と「環境」を作る

ステップ1、2を実践するには、何よりも**患者さんとじっくり向き合う「時間」**が必要です。

しかし、多くの医院では、ひっきりなしにかかってくる予約の電話対応や、予約の変更・確認作業に追われ、スタッフも先生も疲弊してしまっているのが現実ではないでしょうか。

これでは、丁寧なカウンセリングを行うための時間的、そして精神的な余裕を持つことは困難です。

つまり、自費診療の割合を上げるには、質の高い医療やコミュニケーションスキルだけでなく、それらを実現するための**「環境づくり」、すなわち業務の効率化**が不可欠なのです。


【コラム】診療に集中できる環境を整える「仕組みづくり」

質の高いカウンセリングや診療に集中できる環境を整えるためには、開業当初や変革のタイミングで、予約や業務管理の効率化ツールを導入するのも一つの賢い選択です。

たとえば、私たち「Hanavi(ハナビ)」のような中小規模の歯科医院に特化した予約台帳システムを使えば、これまで電話対応に費やしていた時間を大幅に削減できます。

24時間いつでも患者さん自身がスマホやPCから予約できるようになれば、診療時間中の電話は減り、スタッフは受付業務や患者さんへの細やかな気配りといった、本来やるべき業務に集中できます。

また、予約日前日に自動でリマインドメッセージを送る機能を使えば、うっかり忘れによる無断キャンセルを防ぎ、先生が立てた治療計画をスムーズに進めることができます。結果として、一人ひとりの患者さんにかける時間をしっかりと確保できるようになるのです。

成約後も重要!LTV(生涯顧客価値)を高めるために

自費診療は、治療が終わればそれで完了、ではありません。治療後の満足度が、その後の定期検診でのリピートや、ご家族・ご友人への紹介につながっていきます。つまり、患者さん一人ひとりのLTV(Life Time Value:生涯顧客価値)を高める視点が、長期的に安定した医院経営には欠かせません。

そのためには、治療後の「患者さんの本音」に耳を傾け、医院のサービスを常に改善していく姿勢が重要です。

しかし、「治療はいかがでしたか?」と直接聞いても、なかなか本音は引き出せないもの。ここでも、デジタルの仕組みが役立ちます。

たとえば、「Hanavi」には、来院後にアンケートを自動で配信する機能が備わっています。これを使えば、患者さんはリラックスした状態で、スマホから手軽に治療やスタッフの対応に関する感想を伝えられます。

集まった声は、カウンセリングの改善点や、スタッフの素晴らしい対応の発見など、医院にとって貴重な財産となります。このPDCAサイクルを回し続けることが、患者満足度を継続的に高め、結果として自費診療の紹介やリピートにつながるのです。

さらに、経営ダッシュボード機能で、日々の予約状況はもちろん、新患・再診の数、自費診療の割合などをリアルタイムで可視化できます。ご自身の戦略が、どのような成果に繋がっているのかを客観的なデータで把握し、次の打ち手を考える上で、力強い味方となるでしょう。


まとめ:価値を伝え、患者さんと向き合う時間を最大化しよう

今回は、歯科医院における価格設定と、無理なく自費診療の割合を上げるための戦略について解説しました。

  • 大前提は、患者さんとの信頼関係
  • 医院の「価値」を定義し、患者さんのメリットとして伝える
  • 「松竹梅」の選択肢を提示し、患者さんが選びやすい状況を作る
  • 質の高いカウンセリングを行うための「時間」と「環境」を確保する
  • 治療後のフォローで満足度を高め、LTVを向上させる

自費診療の割合を上げることは、単なる売上アップの施策ではありません。それは、先生が信じる医療の価値を患者さんに正しく伝え、深くご満足いただくための、誠実なコミュニケーション活動そのものです。

そして、その大切なコミュニケーションの時間を創出するために、日々の雑務は賢く効率化する。これからの時代の歯科医院経営には、そんな戦略的視点が求められます。

スタッフの予約管理や電話対応の負担を減らし、先生とスタッフがもっと患者さんと向き合う時間を増やしませんか?

「Hanavi」は、地方都市や郊外で頑張る中小規模の歯科医院さまのために開発された、シンプルで使いやすい予約台帳システムです。

24時間Web予約、予約リマインド、経営状況の可視化まで、医院の業務効率化と増患・増収を力強くサポートします。